公開時、観に行こうかな~とも思ったのですが
ネットで観た人の感想をいくつか当たってみたところ、
日本語字幕の破壊力が凄まじいことを知りまして
「まぁDVDででも…」と思っていた次第です。
が、それでも結局トンデモ訳はそう変わっていなかったようで、
なんとなく忘れていたところへ、gyaoで今月いっぱい
観られるということで、今日になってやっと観ました!
基本的に、この作品は昔映画化されたものはありますが
ロイド=ウェバー卿による「オペラ座の怪人」といえば
はじめに舞台ありき、というわけで
私も舞台が大好きだった(なぜか過去形)ので
どうしても舞台と比較してしまいます。
全体的な印象としては、「説明」が多いかな~。
オープニングや、エンディングなど。
あと、「エビータ」の時も感じたのですが、
映画版では舞台より転換が冗長に感じてしまうところがあり、
(映画なら様々な技術を用いてなんとでもできそうなのに)
間延びというか観ていて集中力を欠いてしまうこともありました。
オーヴァーチュアのところなど、
舞台はシャンデリアとドレープの昇降だけで時代が遡ることを表現し、
曲が終わると同時に「ハンニバル」リハーサルのカルロッタの歌に入り
作品世界にのめりこむことができたのですが…
(あの演出はもう圧巻というしかないでしょう)
で、その場面だけでちょっと興ざめしてしまったのが最後まで響いたというか。
衣装も白が目立ってなんだか重厚さが無くて、
(「ハンニバル」や「マスカレード」など…)
振り付けも全然よくなかった~!これは残念。
「ハンニバル」のところなんて、最後グランバットマン連発なんて、
そりゃカルロッタも怒るわ。
「エンジェル・オブ・ミュージック」のバレエレッスンシーンが
無かったのも残念。
特に「マスカレード」は、衣装といい振り付けといい、
舞台ではいろいろな出来事を暗示している
大切な場面だったのに、映画では普通の仮面舞踏会風
…って、まぁ普通の仮面舞踏会だったはずだからコレだけ見れば
悪くは無いんだけど、あとで振り返れば作品の深みを感じる場面だけに
物足りなく思いました。
――で、なんだかんだで途中からだんだん興味がそれていって、
問題の訳詞ばっかり気になっちゃってねぇ(笑)、
そういうものをまとめてるサイトとかで予備知識は入れてあったから
衝撃もそこそこで済んだけど、それでもやっぱりひっかかるのが
不用意なカタカナ語の多様――
「ゴースト」とか
ピアンジが新支配人たちに「アマチュア」とか
「スクラップ・メタル」とか(←そのままかい!)
メグがクリスティーヌに「パーフェクト」とか(これもそのまま)
ミュージック・オブ・ザ・ナイトで
「ダークサイド」とか(別の映画?)「夜のパワー」だか「音楽のパワー」
極めつけは
「ミュージックオブザ…
…ナイト!」
(ってもうやめて~!なんで「!」がっ!
ただの聞いたままのカタカナを文字にしなくていいですから~!)
などなどここまででもう抱腹絶倒だったんですけど、
これは更にこのあとアレだ!って逆にワクワクしたりして。
(お~い作品の感想は?)
DVD化の際、いくつか訳詞の変更もあったようなんですが、
gyaoで流していたものは上映時のものだったようで、
ポイント・オブ・ノーリターンのところで
「情熱のプレイ」出たな!ってかんじで、驚いた本当にそう書いてるよ…。
オリジナル歌詞の「passion-play」というのは「受難劇」という意味なのだそうで、
(だからメル・ギブソンのは「passion」なのかと気付いた次第)
この場面に限らず、この作品はいろんな解釈が可能なように
作られているというか、奥が深いというか、単純にひとつの言葉で
済ませることのできないフレーズがたくさんあると思うので、
なんだか下世話に「passionのplay」と直訳されたのは残念です~。
まぁ確かに官能的な場面ではありますけれど、
ちなみに四季版では「ふたりきりの~ものがたりが~はじまる~」
とされていて、遠回しに、その分味があるというものではありませんか。
基本的に、この作品は非常に格調高いものであるということを、
外してほしくないですね。
クライマックスの三重唱では、ポイントを外してしまってるなーと…
初めて見た人には伝わらないのではないでしょうか。
字数の制約がある、というのが逃げ道になっているみたいですが、
上記のカタカナはむしろ余分に使ってるし、
ミュージカルの日本語訳では音数とイントネーションという
より厳しい制限があるのに、
最近あらら?と思うことはあるにせよ、「オペラ座の怪人」に関しては
四季版はいい仕事したと思います。
さて一番の問題は、最後の
you are not alone
でしょう。映画で「あなたに惹かれていたことを!」とされていて
物議をかもしていた(?)部分。
もうちょっと前からいくと、
Pitiful creature of darkness.
What Kind of life have you known?
God give me courage to show you
You are not alone
と、これはこの作品の中で一番重要なフレーズだと思います、
慎重に訳して欲しかったんですけど
↑で極端な直訳を披露しておきながらなんでここはこうも意訳なの?
このあたりの解釈は見た人の心ひとつ、みたいなもんで
クリスティーヌの気持ちを限定する訳はまずいでしょう~。
「あなたに惹かれていた」ではあまりにも軽い。
物語の最後で、「音楽の天使」に憧れていた少女から
母のような愛を示すまでに成長した場面で、
それを受け入れたからこそファントムは
脅迫しておきながら2人を返して自分は姿を消す決意をしたはずなのに
なんだかな~~ってかんじです。
DVDでは、「あなたは孤独じゃない」ようなかんじに変えられていたそうですが。
ちなみに四季版では「いまみせてあげる わたしのこころ」
孤独じゃない、ではメロディに乗らないからここは苦心されたと思いますが
そういえば赤坂の時には何故か「女の心」になっていて
頭まっしろになったことがありましたっけ。なんで変わったんだろう?
あの時のトラウマで(?)以降、観ていない…のかも…
(今は戻っているそうです)
それから演技の点では、最後のファントムの歌
you alone can make my song take flight
のところが呟くように歌っていたのがちょっとな~。
初演版マイケル・クロフォードの「ゆ~あろ~~ん」て叫びがせつなくて
よかったのに。
1幕の「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」と同じ歌詞の部分との対比がね~。
だいたい、ファントムかっこよすぎ。もっと惨めで哀れじゃないと(笑)。
なんか自信満々で、コンプレックスなさそうだった。
まぁ、結局はロイド=ウエバー卿の道楽なのかも…。
できれば、またああいうミュージカルの大作を生んで欲しいものですが、
他のプロジェクトもそんなに出ていないし、
つまり、やっぱり舞台版「オペラ座の怪人」は凄いんだぞ、ってことで。